怪我の功名
今回は【怪我の功名】エピソードです。
新任でクラス担任を受け持った時のことです。
子どもたちは卒園式が終わると春休みになりますが、職員は入園式までの間に新年度の準備で大忙しです。
事前に前年度の担任からお子さんの成育歴や身辺自立、食事支援について引継ぎを行う
のですが、新任の私はまだ会ったこともないお子さんの名前を覚え、
顔もわからないまま情報を詰め込まなければなりません。
イメージもつかないままメモを取りながら聞いていました。
通園が始まったばかりのある日の給食。
食事に関しても個々に配慮することが異なるので(偏食や介助方法)
最初の頃は自分で食具を持てる2,3人と一緒に食べるという感じでした。
食事が終わると食事摂取量や食べたものをお便り帳に記入していきます。
私も一緒に食べたお子さんのお便り帳にそれぞれ記入しました。
翌朝、先輩に呼ばれ「昨日、〇〇くんの給食、間違えて書いてない?」と確認されました。
お便り帳を確認すると私の字で
白飯・味噌汁一口としっかり見ていた通りに書いていたので
「間違えてないですよ」と答えました。
先輩は私を責めてはいない様子でしたがすごく焦っていました。
お母さんから「〇〇がお味噌汁飲んだのは人生初です!どうやって食べたんですか!?」と問い合わせがあったそうです。
引継ぎで白飯しか食べない子がいた気がする。。とふと思い出して確認したら、案の定、その子でした。
つまり私の確認不足で白飯以外を勧めたわけです。
年少から彼の担任をしている先輩も「〇〇くんは白飯しか食べないよ」と信じてくれ
ません。だんだん自分の記憶がおかしいのかと不安になりました。
書き間違えだったら大変です。。お母さん喜んでますからね。
上司も参加で事情聴取されました。
確かに自発的に食べたかというと。。。。
実際は白飯だけ食べ終えた〇〇くんに「お味噌汁もどうぞ~」と私がスプーンで掬って❝あーん❞と口元に運んだら口に入れたんですが。。
「白飯しか食べないって聞いたことを覚えてませんでした」
その日から彼の給食は私がみることになったんですが、最初こそ首を振ったり嫌がるそぶりはあるものの、味噌汁以外にもカレーや丼ものなど味がついたものや、食材を細かくしたら食べられるものもあるということがわかりました。
それまで給食の前に退室して食事を拒んでいましたが、少しずつ座っていられる時間が長くなり、褒められることも増え、いつの間にか大人が配膳する様子をニコニコ眺めるようになり、大人が配るのまで待ち切れず自分で運ぼうとするようになりました。
おうちでも彼が喜びそうな工夫をお母さんが考えて食べられる料理が増えたり、食べたいメニューを教えてくれるようになったそうです。
他の担任とも食べるようになり、場所も人も選ばず食事ができるようになりました。
卒園する前には献立にもよりますがほぼ毎日完食するようになりました。
小学校に入学してからも給食は完食しているそうです。
新任で担任になったばかりの職員が
「覚えるべき情報を覚えられずにやってしまったことが、結果的に偏食の子の食生活を豊かにした」というエピソードですが、
私の失敗を正当化したいわけでも「私すごいでしょ」って言いたいわけでもありません。
言うまでもなく、お母さんも、関わってきた職員も色んな関わりを試しながら向き合っていたと思います。その時できる最善をやっていたでしょう。
私も付き合いが長かったり、しっかり食事情を把握していたら、きっと味噌汁を勧めてなかったはず。無理強いしても逆効果だし。(私自身が偏食なので気持ちはよくわかる)
何が言いたいのか。。。
大人が子どもの可能性を見限っちゃいけないということです。
「この子はここまでしかできない」と決めつけたらそこまでだと思います。
子どもは大人の言ってることをよく聞いていて身近な人ほど信じています。
「ここまでしかできない」ではなくて
「今はここまでできる」って言い換えたら
可能性が広がる感じがしますよね。(自分はネガティブなのに人には言える)
否定で終わるより肯定で終わらせよう!
私にとっても課題ですが。。
朝からポジティブな感じで今日も頑張ります!